海外からの緊急帰国で困っている留学生がたくさんいます

先日、外務省が全世界を対象として危険情報をレベル2に指定し、多くの留学生が帰国を要請される事態となりました。

タイでは、外出禁止令やロックダウンなどの状態にはまだ到達していないものの、感染抑制への対策が日を追うごとにますます強化されている状況です。
こういった事態を受けて、数週間ほど前までタイに居残ろうとしていた私も、日本への帰国を決めました。

しかしながら、今現在、私を含め帰国を要請された多くの留学生が困難に陥っています。
最近になって少しずつメディアが報道し始めましたが、この問題について少しでも多くの人に現状を知っていただきたくてこの記事を書きました。

 

公共の交通機関の使用自粛

現在、対象国からの帰国者に対して、公共の交通機関を使わずにレンタカーや自家用車で待機場所(自宅など)に帰ることが要請されています。
免許がない場合、地方に住んでいる場合、近くに親や親戚などの頼れる人がいない場合などは、公共の交通機関なしでは自宅に帰ることが非常に困難です。

私は帰国を決めたはいいものの、親が日本にいないので、自宅に帰る手段がなく困り果てていました。
幸いなことに、親戚が空港まで迎えにきてくれることになり無事帰宅できそうですが、そうでない留学生はたくさんいると思います。

家族が迎えに来てくれる前提、レンタカーを運転できる前提でこのような要請をお願いするのは適切な対応だと言えるのでしょうか。

また、空港送迎の専用車を提供するサービスもいくつかありますが、(借り上げハイヤーは公共の交通機関に含まれないらしい)、少なくとも数万円はかかるので、とても留学帰りの学生が出せる金額ではありません。
例えば、下記のサイトでは、23区内の送迎であれば

・成田空港:49,800円
・羽田空港:29,800円(税別、3月28日確認)

とされていて、学生にとっては非常に厳しい値段になっています。

www.24limousine.com

また、同じ大学の方で、空港から自宅に帰る手段がない・待機場所がない留学生のために、有志で援助してくれる人を探す活動を行っている方も見ました。
その方のSNSへの投稿から、公共交通機関の利用自粛と14日間の待機を要請する対象国が増えたために、手配や対応が大変になっていく様子が伺えました。

本来このようなことは、政府や然るべき機関が早急に対応すべきことなのではないかと強く感じました。
あくまで「要請」なので、このまま政府が助けや別の方法を提供しない限り、公共の交通機関を利用して帰ってしまう人も少なからずいるのではないかと思います。
そうなるとここ数日でやっと本腰に入った感染抑制への対策も水の泡になるのではないのでしょうか。

 

14日間の自宅・ホテル待機

公共の交通機関の使用自粛に加え、同じく対象国からの帰国者に対して、14日間の自宅・ホテルでの自主隔離が要請されています。

しかし、地方在住者など、公共の交通機関で自宅に帰れない場合は、空港周辺のホテルに14日間滞在するしかありません。
宿泊費はもちろん全て自己負担です。
対象国からの帰国者がホテル側から予約を拒否されたというケースも聞きました。

Twitter上では、帰国した留学生が自宅に帰れず、東京で2週間ホテルを取らざるを得なくなったというツイートが話題になっていました。


ただでさえ、アパートや寮の急な引き払い(デポジットの問題など)や、高い航空券などの急な支出が多い中、更にホテルを自費で取って14日間待機など無茶な話です。
親に頼れない学生もたくさんいると思います。

感染拡大を抑制するためにも、帰国者用の滞在先を一刻も早く準備するか、ホテルでの自己隔離の費用を負担するなどの対策を講じてほしいです。

 

最後に

このような事態に直面して、留学生の帰国問題も、新型コロナに関する問題についても、自分が当事者にならないと何が必要なのか、何をすべきなのかわからないということを実感しました。
また、自分に直接的に関係のないことは想像するのが難しく、対岸の火事のように思えてしまうのだということも感じました。

最近になってやっとメディアが帰国者への対応について報じ始めましたが、この記事を含め、一人でも多くの人に留学生が困っている現状について知ってもらい、一刻も早く政府に然るべき対応をしていただきたいです。

「グローバル人材」だの「国際化」だの言って国外で学ぶことを奨励しておきながら、有事の際は帰国を要請するだけ要請しておき、でも自力で帰って全て自費でどうにかしてね、なんてあまりに無責任だと思います。

多くの留学生の帰宅方法・待機場所の問題が解決され、皆が無事に自宅に帰れることを願っています。